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コロナで減った「雑談」をどう増やす? 編集チーム2社で話し合ってみた

新型コロナ感染症の流行は、編集・ライティング業にも大きな影響がありました。ひとつは「テレワーク化」、そして「取材のオンライン化」。前者はチームとしての働き方を、後者は自分たちが生業としてきた取材の役割・価値を、改めて考え直すきっかけに。

「会って話すこと」と飲み会を重要視してきたHuuuuと、コロナ以前からオンライン中心のコミュニケーションだったモメンタム・ホース。いわば「会わない時代」の到来に、それぞれが様々な変化と課題を感じています。

再確認した「雑談」の価値とは?  そして雑談を生むチーム運営の工夫とは? 「会うこと」へのスタンスが対照的な2チームで、Zoom座談会を行いました。

【登場する人】
友光だんご:Huuuu編集部長。犬の民芸品を集めるのが趣味。インターネット歴は浅めなので、チャットやビデオ通話よりも対面のコミュニケーションのほうが得意。
日向コイケ:Huuuu所属、イラストレーター/ライター/編集者。銭湯と飲酒をこよなく愛している。オンライン飲み・リアル飲み、どちらも分け隔てなく好き。
小池真幸:モメンタム・ホース所属の編集者・ライター。自分のペースを乱されるのが苦手なので、もともとは非同期のオンラインコミュニケーション万歳派だった。しかし、コロナ禍を経てオフラインコミュニケーションの価値を見つめ直すようになり、最近は転向気味。
ハッスル栗村:モメンタム・ホース所属のディレクター。社会人になってすぐにフルリモートの組織で働くことになったので、オンラインコミュニケーションには慣れている。
鷲尾諒太郎:モメンタム・ホース所属のライター/編集者。小汚い立ち飲み屋さんで飲むことが好き。自粛期間中はZOOM飲みにチャレンジしてみたものの、全く楽しめず自らの酒飲みとしての資質に疑問を持っている。


オンラインだと、雑談が生まれない

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だんご:コロナ以前/以後で、Huuuuは働き方が大きく変わったんです。というのも、今年の2月頃から原宿にあるシェアオフィスの「Humans」に入居したんですよ。僕や日向くんは、ほぼ毎日そこで顔を合わせて作業してたんですが、3月末からテレワークに切り替えて。

チーム内のコミュニケーションが一度は対面で成立してたぶん、テレワークでオンラインのみになると、色々と物足りない部分があったんですよね。日向くんの場合、Huuuuに入ってまだ1年目だけど、テレワークってどうだった?

日向:移動時間がないのは楽でしたけど、最近、だんごさんと会って作業する機会が増えたら「やっぱ、このほうが捗る!」って思いました。

自分は前職でウェブのディレクターをやっていたので、編集やライティングはほぼ未経験でHuuuuに入ったんです。まだわからないことが多いので、対面のほうが質問しやすいなあと。

だんご:新人の場合、「わからないことがわからない」って状態があると思うんだよね。教える側としても、「あの仕事どんな感じ?」って雑に振って会話するなかで問題点が見えて、アドバイスできるみたいな場面は多いかも。

日向:オンラインよりもオフラインのコミュニケーションのほうが、そういう場面は生まれてますね。あと、ずっと家でひとり作業してると、何よりも心細いんすよ(笑)。この4月から社会人になった人は大変だろうなと。

小池:なにげない雑談って、オンラインだと生まれにくいですからね。メンバー同志の仲を深めるために、雑談は必要だと思います。

日向:雑談があるからこそお互いのことを知れて、僕の場合は先輩であるだんごさんとも仲良くなれましたし。

だんご:趣味とか性格は全然違うからね。一緒に飲んだりして仲良くなれたと。反対に、ずっとオンラインを繋ぎっぱで仕事をしてる会社もありますよね。モメンタム・ホースはどうなんですか?

鷲尾:モメンタム・ホースはコロナが流行るずっと前から、基本オンラインでしたね。Huuuuとはそこが違っていて、新人が入ってきても、オフィスに集まって先輩が指導するみたいなことはなくて。原稿へのアドバイスに限らず、「ライターとは」「編集者とは」みたいな深い話も、基本的にオンラインでやり取りしてました。

だんご:進んでる! そういえばオフィスも手放すんでしたっけ。

小池:はい。この間、退去してきたばかりです。なので、やり取りは完全にオンラインになりますね。あんまり困ることはないと思うんですけど、たしかに雑談の機会は減るのかもなあ。


何気ない、隙間時間のコミュニケーションが大事だった?

ハッスル:僕はオンライン中心のモメンタム・ホースの人間ですけど、対面での仕事の付き合いですごく影響を受けた人がいて。それが、inquire(インクワイア)のモリジュンヤさんなんですけど、ジュンヤさんには本当に色んなことを教えてもらいました。

小池:inquireとモメンタム・ホースは一緒に仕事することが多くて、ジュンヤさんはハッスルの外部メンターみたいな感じだったよね。

ハッスル:別に契約してるわけでもないですけど、一緒の打ち合わせに行った帰り道に、ジュンヤさんに相談に乗ってもらったりしてたんです。最近は打ち合わせもオンラインになって帰り道の時間が無くなったので、今さら「あの時間、大事だったな……」と思っていて。

だんご:取材でもそうだな〜。インタビュー前後の何気ない時間にする会話が、結果として原稿に活きることは多いですもん。

ハッスル:そうですね。コンビニに一緒に行く時間とか、エレベーターで乗り合わせたときとか、そういう時間は人間関係において大事だと思います。

小池:いわゆる「喫煙所コミュニケーション」みたいな、業務と業務の間の関係が、テレワークになると特に社外の人とはなくなってますよね。

だんご:僕が会社員だったときも、仕事が長引いて夜遅くなってから、隣で同じように残業してる先輩に悩みを聞いてもらうみたいな時間はあったなあ。忙しい先輩でも、その時間になると雑談に応じてくれる。Humansで遅くまで仕事をやっていたときは、日向くんともそういう時間がありました。

日向:そうですね〜。

鷲尾:僕も前職にいたときは、まさにそんな感じでした。残業してるときに、上司なり同僚なりと業務の話もすれば、それ以外の関係ない話もする。そういった仲の深め方が良いか悪いかは置いといて、結果的に仲良くなれたし、それはオフィスがあったからこそだとも思う。

小池:なんか、オンラインは偶発的なコミュニケーションを発生させづらいですよね。本題にはすぐに入りやすいけど、雑談というかアイスブレイクの時間がない。この前、写真撮影に同行した仕事があったんですけど、そこで社外の人と雑談したときは、その時間がすごく久しぶりだな〜って思いましたね。


目的化されていくコミュニケーションのやりづらさ

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▲用事の合間に立ち寄ったカフェでの会話で、一気に仕事が進むことも多い

鷲尾:目的のないコミュニケーションが減ってるのは明らかですよね。例えば、Googleカレンダーには「雑談」って予定は入れないじゃないですか。

日向:入れないっすね。なんか、わざわざするものでもないというか。

鷲尾:そうそう、雑談が減ってるからといって、予定や目的にしてもそれはそれで上手くいかない気がする。

小池:かつて、仕事/プライベート問わずカレンダーの予定をびっちりと組んで、ひたすら消化していくスタイルに挑戦してみたこともありました。でも「何時から何時までこれをやる」とか「夕食」「休憩」とかで時間を区切っていると、自分が失くなっていくような感じもして。

それってつまり、全ての時間に目的があるってことじゃないですか。オンラインだとよりそういった状態が加速される気がしますね。

日向:そうですね、僕みたいな新人は、オンラインだと余計に無理が生じるんじゃないかって思いました。あとシンプルに、ビデオ通話って会話しづらくないですか? 発言が被るし、タイムラグも起こるし……。

鷲尾:目も合わないし(笑)。

だんご:ああ〜〜〜〜、それ僕いやなんですよね。

日向:「目が合わない」ってどういうことすか?

だんご:いまもビデオ通話だけど、画面上の日向くんと目を合わせることはできるよね。でも、これってウェブカメラ越しの映像だから、本当の日向くんとは目が合ってないのよ。つまり、ビデオ通話では永遠に他人と目が合わせられない………これ、めっちゃディストピアじゃない??

日向:いや、ディストピアは大げさでしょ(笑)。でも、わからなくもないです。そういう細かいストレスも、オンラインで雑談を生まれにくくしてる原因なんじゃないかなって思いますね。


あえて、雑談の機会を作ってみる

だんご:Huuuuに比べて、モメンタム・ホースのほうがチーム運営を理論立ててやってると思うんですよ。コミュニケーションがオンライン中心のチーム運営で、やってることってあります?

小池:意識的にコミュニケーションの機会をセッティングしていて、それがわりといい感じに働いてるなーって思います。運営面ではハッスルが中心になってるけど、どう思ってる?

ハッスル:難しいのは「どこまでやるか」ですね。大前提、モメンタム・ホースに社員はいなくて、フリーランスの集団。だからチームのルールや「一緒にやらなきゃいけないこと」を増やしすぎるのもよくない。でも、やっぱり個人が各々の仕事をしながらでもチームワークは出せたらいいなと。そうなると、雑談は今よりもっと増えていいくらいだと思ってます。

だんご:Huuuuも半分はフリーランス集団なので、その話はよくわかります。基本は顔を合わせないぶん、いかに雑談の機会を増やすかは悩んでますね。

ハッスル:そこで、僕が実験的にやっているのがSlackの「Colla(コラ)」ってシステムです。Slackのワークスペースにダウンロードして使うBot機能なんですが、Slackのメンバーにランダムな質問を投げてくれるんですよ。

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日向:え、おもしろそう。

ハッスル:例えば、朝の8時に5人に質問してくださいって設定にすると、DMでその5人に質問がいきます。送られる質問は、「どんな職業にでもなれるなら何になりたいか?」とか「先週の週末は何をしていましたか?」とか、本当に他愛のないもので。で、お昼の12時になると、指定したチャンネルで、さっきの何人かの回答がまたランダムに紹介されます。

だんご:なるほど。その回答を見たら、自然と反応したくなりますね。「この人これが好きなんだ!僕も」とか、雑談のきっかけ作りになりそう。

ハッスル:そうなんです。しかも、新しく入った人は自動的に一番最初に紹介されるようになってます。

だんご:いいな〜、Huuuuも入れたい。フリーランスの人が多いと、定期じゃなくて単発の案件や記事でしか仕事をお願いできてないケースがあって。すると「いま一緒に仕事してない人」は、Slackのメンバーになっていても、発言しづらいと思うんです。

そんなときに、こうして「あえてコミュニケーションの機会を作ってくれるもの」があったほうが雑談も生まれるなと。

ハッスル:まず「チームを盛り上げる」ってこと自体、だいぶ腰が重くなっちゃうじゃないですか。

日向:たしかに。それよりも目の前の仕事やんなきゃってなります。

ハッスル:そこでBotなのがいいんですよね。自動だから。質問する人の意図を考える必要もなくて、質問してるのはロボットだから「なんでこれ聞いてくるんだろう?」みたいな探りを1ミリもしなくていい。

だんご:チャットで「相手の発言の意図」が気になっちゃう場面あるな……。なんでもない発言でも、テキストだとなんか怖く見えたりするんですよね。ロボットなら確かに気にしなくていい。

鷲尾:質問の答えから、その人の意外な側面が見えてくるのも面白いっすよ。うちも実験的に取り入れてる段階ですけど、今のところいいなと思ってます。

日向:ランダムに雑談を生んでくれる仕組み、イケてますね。


飲み会の立ち位置も会社によってそれぞれ

だんご:純粋な疑問なんですが、モメンタム・ホースって対面でのコミュニケーションが少ないのに、ちゃんと「チーム感」あるのはどうしてなんでしょう?

というのも、Huuuuは確実に飲み会でチームの連帯感が生まれてると思うんです。みんな飲み会が好きなので、長時間一緒に飲んで、真面目な話からくだらない話まですることで、チームとしての思想やお互いの個性を共有していて。

逆に、モメンタム・ホースは飲み会をあんまりしてないですよね。しかも基本オンラインだと、「濃いコミュニケーション」がないわけじゃないですか。なにか他に秘密があるんだったら教えてほしい……。

小池:難しい質問ですね。

鷲尾:飲み会みたいな濃いコミュニケーションがあるかないかで言ったら、ないと思います。あんまり。

ハッスル:特にないのには、忙しいって理由かもしれないですね。

だんご:その感じ! なのに仲はいいんだよなあ。不思議。

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▲オフィス退去前の飲み会をするモメンタム・ホース。「飲み会をしない」というわけではないので、Huuuuの飲み会が多すぎるだけなのかもしれない

鷲尾:飲み会のような濃いコミュニケーションがないからといって、モメンタム・ホースが一体感がないとは思わないですね。

ただ、そういう対面でのコミュニケーションやみんなで仲を深める場が少ないのは、うちのチームの問題点かもしれないですね。というのも、新人がその「すでにできあがってる空気感」に入りづらいってことなので。最近新しいメンバーも入ってきたので、余計に思います。

小池:たしかに、僕らも飲み会とかをもっとしたほうがいいのかなとは感じてて。絶対、飲み会がもたらす作用ってあると思いますし。

鷲尾:飲み会って、どんな組織にとっても重要なテーマだと思うんですよね。「飲み会って意味あるの?」みたいな疑問から、雑談するため・仲を深めるための飲み会まで、どの組織も「飲み会をどう捉えるか」は迷うポイントなんじゃないかな。

小池:飲み会の位置付けってことですよね。Huuuuみたいに、飲み会だいじ!って決めてるチームもあるけど、実際ははっきりと決めてない会社も多いと思う。だから「組織と飲み会」ってテーマで専門家に聞いてみるのは面白そう。

日向:それでいうと、僕は最近、『人生で大切なことは泥酔に学んだ』って本を買いました。「酔人研究家」の栗下直也さんって人が書いたらしく。

だんご:いいタイトル。

ハッスル:たしかに。泥酔は学びが深い(笑)。

鷲尾:僕はもともと人事をやってたので、「組織論としての飲み会」は興味がありますね。話が聞けそうな人もいますよ。

だんご:「モメンタム・ホースは飲み会をあまりしてないけど、チームとしては成立してる。けど、次のステップに進むためには、もっと飲み会したほうがいいですか?」みたいな相談する企画面白そうじゃないですか?

小池:たしかに、より切実な悩みとして聞けそう。

鷲尾:いいっすね。そしたら次は、飲み会をテーマに取材をしましょう!

構成:後藤なな
編集:友光だんご
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